官邸へ~菅官房長官に申し入れ!再生医療議連

 これまで16回にわたり勉強会を行ってきた「再生医療を推進する議員の会」ですが、各方面、所属議員からの様々な意見や視察などをおこなってきた総決算として、先般提言を取りまとめ、今日、菅官房長官に、河村建夫会長をはじめとする所属議員有志一同で提出してまいりました。

今後も再生医療法の環境整備につとめてまいりたいと思います。

再生医療を推進する議員の会 提言書(平成25年度)

<これまでの経過>

自民党では、細胞シート工学などの日本発の再生医療研究が画期的な臨床 応用の成果を挙げはじめる中で、「生きた細胞を薬として扱い続けていいのか」 との、日本再生医療学会を中心としたアカデミアの疑問の声に、平成19年 (2007年)12月11日に『自家細胞を用いた再生医療を推進する議員の会』の勉強会をスタートさせました。
そして、我が国において再生医療の実用化が進まない主たる原因となっている制度的な課題を解決し、再生医療を支える幅広い産業の育成・拡大を可能とすることにより、難病や慢性疾患に苦しむ多くの患者に合理的な費用負担の下で新たな治療方法を提供することを目的として、平成20年4月17日に  「再生医療を推進する議員の会」(自民党・公明党)を発足させました。その後は、再生医療を推進するため議員立法の成立に向け、勉強会を本格化させました。以後、月に2回の開催ペースを守り、平成20年7月2日には再生医療の推進に向けての提言を内閣総理大臣福田康夫氏に行い、その年の骨太の方針の中にも再生医療を推進する事がうたわれることになりました。
その後、政権交代が行われ、民主党政権に変わり、政治が混迷する中、    本議連も3年余りの休眠状態を余儀なくされました。
しかしながら、これでは日本の再生と発展はないと、再び有志議員は高い  使命感を持ち、立ち上がり、河村建夫会長、石井みどり事務局長のもと、     平成24年5月9日「再生医療を推進する議員の会」を改めて再生することとなりました。この間に再生医療製品2品目が薬事承認されると共に、スーパー特区などの取組みにより60件を超えるヒト幹指針に基づく臨床研究が進展し、更に平成24年10月には山中伸弥京都大学教授がiPS細胞(人工多機能性幹細胞,induced pluripotent stem cell )の開発により、ノーベル医学・生理賞を受賞されるという、素晴らしいニュースに接する事ができました。
これに力を得た格好で我々も議連の活動をさらに活発化させ、平成24年
12月の政権交代を契機として、議員立法成立に向けた動きを加速し、これまで24回にわたり研究会を重ねてまいりました。

<議員連盟の成果>

上述した精力的な活動を行い、本年に入り、再生医療推進法(再生医療を  国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律案)を平成25年4月26日に成立をさせることができました。現在  それに関連して、再生医療の迅速な実現を図るとともに、医療機器の開発   スピードを引き上げる「薬事法等の一部を改正する法律案」,「再生医療等の  安全の確保等に関する法律案」などの法案を衆議院へ提出するにいたりました。即ち、以下にまとめると

1. 再生医療推進法(議員立法)の成立(平成25年4月26日成立)
本推進法の成立は、これに引き続く閣法たる新法の創設及び改正薬事法の 大幅改正を政府に求めるものであり、本格的な再生医療の推進を実現する重要な転換点となるものとなりました。これにより、優れた再生医療製品の創出と  医療サービスの提供を通し、臨床応用、一般的な治療への普及を世界に先駆けて実現することが期待されることになりました。

2.再生医療等の安全性の確保等に関する法律案の策定(現在閣法として提出)・外部委託の実現
細胞や組織の培養・加工を医療機関外に委託することを可能にし、再生医療の裾野を拡大する画期的な仕組みであります。今後はより多くの患者を治療するために、再生医療の産業化を進め、たゆまぬ技術進歩を促進し世界に通用する国際競争力の高い再生医療産業が生み出されることになります。そのためにも、他の先端工業製品の製造機関と同様に、細胞培養・加工機関についても、国際的な展開を視野に入れ、第三者機関による認証制度を検討していきます。

3.薬事法等の一部を改正する法律案の策定(現在閣法として提出)
①「再生医療等製品」について新たな章立てを行い、再生医療の特性を踏まえた制度整備を実現しました。今般の改正により、「再生医療等製品」を法律上位置付けるとともに、新たな章立てとすることにより、これまで薬事法上の位置づけが不明確であった再生医療評価の不安定性を取り除くとともに、 医薬品及び医療機器と異なる性質を踏まえた審査が実施される環境を整備することになります。

② 早期承認制度の創設
再生医療の特性を踏まえ、条件及び期限を付した上で、早期に承認する制度を創設することになりました。これにより、最新治療の早期提供に加え、医療保健の早期適用の可能性も拡大します。
このように我々は、再生医療が成長戦略に繋がることをいち早く認識し、
再生医療及び周辺産業の実用化・活性化も目的とした、法案の改正や新法の  作成を行ってきました。これはまさにアベノミクスの成長戦略の矢じりにあたる部分を推進する為の法案ではないかと考えます。このように、本議連が果たした役割は大変大きなものと自負するところではありますが、まだまだ克服 すべき多くの問題点を抱えています。以下今後の課題と提言について述べます。

<今後の課題と提言> 

1.再生医療分野において新規参入を促進するための詳細な制度の整備
今後、再生医療分野により多くの企業が参入し、より高度な技術開発や再生医療のコスト低減に資する機器等の開発・提供が行われることになるものと 思われます。このため、実用化のスピードを遅らせることのないよう、産業界の意見を踏まえたより合理性のある制度設計が不可欠となることから、この 作業準備を迅速に行うことが求められます。また、新たな法制度の下で再生  医療製品が継続的に生み出され続けるためには、早期承認制度の導入に伴う 承認後のフォローアップ調査を如何に効率的に行うかがカギであり、これに 要するコストが事業化を妨げないようにするための配慮が必要であります。特に、再生医療安全性確保法と改正薬事法の規制が相互に連携し、過剰な負担を事業者等に課すことがないよう運用されることが重要と考えます。

2.再生医療に必要な細胞を円滑に調達できるようにするための制度の整備
我が国では、効率的にヒトの組織や細胞を調達することは極めて困難であり、研究活動のみならず今後の治療の発展にも大きな足枷になる可能性が高いと 考えます。このため、細胞の提供及び調達に関するルールを整備するとともに、事業化も視野に入れた環境整備を行うことが何よりも必要です。

3.再生医療の審査の迅速化、実施に関する情報の公開を行う
再生医療の審査手続の迅速化のために、個々の製品に特有となる安全性、  有効性に関する試験項目等を明確化し、国際整合性を図るべく標準化を進めることが必要であります。また、臨床研究や治験の結果をプライバシーに配慮しつつ共有し、効率的な規制の執行及び新たな再生医療の技術開発に活用すべきであります。

4.再生医療の適用範囲拡大のための医療経済的観点からのアプローチ
再生医療を適切に普及させるためには、再生医療による治療効果が高い疾患分野を選定するとともに、既存治療による効果が芳しくない疾患分野に対する積極的な適用等、医療財政の観点から再生医療の利用を促進するための環境 整備を図る必要があります。

5.再生医療の融合研究開発と関連規制開発を担う特区型中核センターの確立

再生医療の基礎研究から臨床研究、実用化をより一層円滑かつ一体的に進めるためには、新たな専門人材(研究者、医師、企業、支援)を育成維持し、    集中的な研究開発を可能にする「場」を国が用意し、日本発の優れた再生医療の実現を加速的に展開する研究支援体制と特区型制度と組み合わせることで、段階的普及の道筋をつける必要があります。再生医療推進法の精神に基づいて世界の範たる総合的な再生医療研究および規制開発を推進する基盤(ナショナルセンター)を早期に確立すべきものと考えます。

6.再生医療に参入するバイオベンチャー等の資金的支援の拡大やアカデミアと企業の一体的な実用化推進のためのマッチングファンド等の研究資金支援 スキームを整える必要があります。

7.日本発の再生医療製品の販路を海外において確固たるものとするよう、  国際展開戦略への提言を行うべきものと考えます。

<終わりに>

今回の報告を行う中で、最も注目すべき点は、日本再生医療学会の岡野光夫理事長、並びに学会関係者の熱意と協力、さらには厚生労働省研究開発振興課,文部科学省ライフサイエンス課,経済産業省生物化学産業課,内閣官房医療  イノベーション推進室,衆議院法制局などの担当職員が縦割り行政を廃した 強力な支援体制を作り上げたことが、これらの法案の提出することができた 最大の要因と考えられます。まさに「チーム再生」と呼ぶにふさわしい、日本発の再生医療研究に世界の患者救済と新産業創造を期待する国民的総意を汲んだ活動であり、新たな行政府と立法府、さらにはアカデミアの共同作業としても特記するべきものと考えられます。以上これまでの経過を踏まえ、これまでの成果を報告するとともに、今後取り組むべき課題と提言を行い報告とさせて頂きます。

平成25年6月12日

再生医療を推進する議員の会
会長 河村 建夫
会員一同

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