Dejima医療と教育研究会(難聴勉強会)

 2019/1/19(土)

 Dejima医療と教育研究会(難聴勉強会)に参加しました。




 1.難聴児対策 ―新生児聴覚スクリーニング検査と療育の必要性、そのための取り組み―
 先天性難聴は新生児約 1,000人に対して1人の確率(全国で年間 1,000人)で 罹患すると言われています。
従来、先天性難聴は3歳児健診時などに「ことばの遅れ」等で発見されていました。
 私は1999 年に県議会議員にならせていただきましたが、それから2年が過ぎた頃、医学部卓球部後輩の重野先生(重野耳鼻咽喉科めまい・難聴クリニック)や、神田先生(神田E・N・T医院)方のアドバイスをいただき、長崎県の協力を得て、新生児聴覚スクリーニング検査の助成を行うことになりました。これにより2003年10月以来、長崎県では公的全県新生児聴覚スクリーニングが導入され、今日に至っています。産婦人科・小児科・耳鼻咽喉科など関係各位のご協力をいただき、今日でも99-100%という高いスクリーニング実施率を維持しています。スクリーニング後のフォローアップにおける医療(補聴器・両人工内耳など)アドバイス、教育面(教員や言語聴覚士による聴覚活用教育)でのバックアップ体制があるのも本県の特徴でありましょう。その甲斐あって、全国有数の実施率を誇る県として全国的に認知され、補聴器の性能向上、人工内耳の普及と相まって、今では音声言語が当たり前の県となり、 大村市のろう学校では早期に手話を教える必要がな くなるまでに至りました。
 ところが、私が国会議員となり10年が経とうとした2016年7月頃、全国にも長崎方式が広まり、難聴児対策が既に普及しているものと思っていた私に、「実はそうではない」という報告がありました。それは、「人工内耳による療育と教育は関東方面を中心として、それ程進んではいない」というものでした。「なぜ?」という私の問いに、返 ってきた答えは、「療育の必要性を広く周知できていない、社会環境の不備が故に、人工内耳の効用を過大評価して、子供に手術を受けさせた親御さんたちの存在」というものでした。そもそもお子さんが1歳くらいになって人工内耳を装着しても、 言葉を話せるようになるのには2年ほどの療育が必要なのです。それにも関わらず、人工内耳を付けても一向に言葉を喋れるようにならないわが子を見て、ご両親は人工内耳と療育を辞めてしまうのです。長期療育の必要性が良く理解されていなかったが故の悲劇でした。
 我々も突然異国の地に投げ出されたとき、初めて接するその言葉の意味を理解し、発声できるようになるのには少なくとも2年くらいはかかると思われます。同様な事が子供の言語中枢にも起こるのです。それまでの手話、ボディランゲージなどの視覚中枢を介しての信号に突然、聴覚神経を介しての信号が入って来るので、混乱してしまうのです。科学的な療育が必要とされるのは当然のことだと思います。
 このような現状を変えるため、2016年の9月から、全国の難聴児の療育と教育を見直すべく、活動を開始しました。現在長崎には神田先生を中心として、長崎大学耳鼻咽喉科、長崎大学教育学部、 長崎県障害福祉課などの心強い存在があります。 皆様の協力の元、「長崎Dejima医療と教育研究会」を立ち上げ、厚生労働省とも話し合い、全国の難聴児対策の実態調査の予算を確保して、活動を行っています。この研究会においても、下記に示す先天性難聴の三大原因各々の可及的速やかな対策を行います。
1.先天性サイトメガロウイルス感染症
2.先天性奇形(内耳奇形・蝸牛神経奇形)
3.遺伝性難聴

2.高齢者向け難聴対策 ―日本製の新型補聴器等の開発に向けて―
 さて現在、聴力レベル40dB 以上の難聴者は、80歳以上では男性の2人に1人、女性の3人に1人、全国で462万人、軽度を入れれば 862万人いると言われています。聴力障害のある高齢者ほど認知症発症リスクが高いことから、補聴器装用により認知症発症を予防することができると考えられています。
 近年の補聴器の進歩は著しいものが あり、ワイヤレスの進歩により状況によっては、健常者よりも聞こえる事から、「健常者よりも便利な時代」になったとも言えます。高齢者への早めの補聴器適合・装用で、「振り込め詐欺」を予防で きる可能性も示唆されています。
 しかし、日本における補聴器の使用率は低く、欧米諸国と比較して半分以下というデータもあります。 日本のみならず、海外の先進国においても高齢化が進んでいます。聴覚を始めとした五感作用を補助する機器は、巨大な市場となる可能性があります。採算性の低さ等からこれまでは日本の補聴器メーカーはなかなか育たず、補聴器については 海外製品が日本市場を席捲しているのが現状です。
 私は、現在ファイブセンス(五感)センターの立ち上げに向けても動いていますが、今後はそうした日本の最先端の分野で培った高度な技術を利用 した、日本製の安心・安全で信頼出来る補聴器や他の感覚補助器等の開発を支援し、日本を支える新産業を興していけたらと、毎日夢を見ています。

3.皆様のご理解とご協力が必要です!
 以上、新生児難聴児対策と同時に、高齢者の難聴と社会的背景にもメスを入れ、日本発の新産業の発展にも取り組んでいきたいと考えています。 今年(2019 年)からは長崎大学医学部耳鼻咽喉科前教授の髙橋晴雄先生にご参加いただき、新たな取り組みを行っていく予定です。
 皆様からのご意見・ ご指導をいただきながら、精一杯頑張ってまいります。

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