2021/5/27(木)
医療系議員団 新型コロナウィルス対策本部(第52回勉強会)に出席し、私からは「なぜ国産ワクチンの開発は遅れたのか-BSL4の存在と価値-」についてお話させていただきました。
日本のワクチンが諸外国になぜこんなに後れをとったかについて、政府は明確な見解を示しておりません。しかし、我々が類推するに日本におけるワクチンの流れは、化血研を始めとした生ワクチンが主体であり、今回のような諸外国に見られるようなRNAワクチンなどの生産はあまり考えていなかった点にあるかと思います。
原因は種々要素が挙げられますが、ワクチン開発体制に焦点をあてると、それはエボラウィルス、ラッサウィルスなど危険度が最も高いウィルスや細菌などの病原体を扱うことのできるBSL4(バイオセーフティレベル4)の施設が、日本に1ヵ所あるにもかかわらず、40年あまり稼働していなかった、という点にあると思われます。
しかし、幸い新たに長崎大学に最新型のスーツ型実験棟が2021年7月中に完成します。この施設の特徴は、北海道大学など9大学の共用施設であること。世界では現在(令和3年5月21日)既に24ヵ国、59施設以上が稼働している(画像参照)ものの、ワクチン・治療薬の開発、感染症の病態解明には霊長類を用いた病態解明が必要でありますが、霊長類が使えるBSL4施設は現在本施設を含めて9ヵ所しかありません。
これらの施設を海外の研究所に開放することにより、これから次々に出てくるであろう新たなウィルス感染症等に対抗しうる研究やワクチンの開発が期待できるものと思われます。
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